恋愛

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春休みはあまり部活がなくて、一日がやけに長く感じる。部活がないとやることなくて、つまんないなぁ。まだ目覚めたままで顔も洗ってないし、パジャマのまま。この退屈な時間をどうにかしたくて、果穂にメッセージを送ってみる。―何してる?春休み中は池内先...
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「制服は規定通りに着ろよ。」朝の電車を降りた瞬間、いつもよりざわざわした声がする。「絶対、アレだ。」「やられたぁ。」小さな駅の改札口に、生徒指導の小山先生が見えた。もうすぐ進級。今日は保護者会があるから、校則違反のチェックに来てるんだ。わた...
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もう風がひんやり冷たくなってきて、秋が近づいてきたんだなって思う。「次の英語の授業、辞書いるよ。」「持ってきたってば。」クラスの誰かが話してる。「あっ、忘れた。」夏の制服に流行りのブランドのセーターを重ねて着て、夏香の教室へ辞書を借りに行く...
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わたしたちの教室から見える駐輪場。自転車で登校してくる生徒たちが、窓の外を通り過ぎていく。副部長と池内先輩はいつも一緒に自転車で登校してくる。わたしは、ふたりが駐輪場から歩いている姿を教室の窓から眺める、この時間が好き。教室の横を通る池内先...
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入学してから初めてのテスト週間がやってきた。部活も休みに入る。テスト範囲はまだそんなに広くないし、勉強をしてみても思ったより時間が余る。机に向かっても、なんだか手持ち無沙汰で、ついスマホが気になってしまう。副部長との会話を思い出した。――「...
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-title 5-

普段はわたしと咲良、ふたりで部活に行くようになった。果穂は自分のテニス部の練習がない日だけ、卓球部に顔を出している。「副部長、怪我はもうすぐ治りそうですか?」「うん、もうすぐだよ。ごめんね、心配かけてるよね?」「そんな、謝らないでください。...
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体育館をのぞいてみると、ちょうど目の前で卓球部が準備してるところだった。部活があるから行けないって言ってた果穂も、なぜか一緒にいる。「みんなで来てくれたの?」太田くんが優しく出迎えてくれた。「みんなで見学をしても大丈夫かな?」そう聞き返すと...
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-title 3-

「学級役員決めるぞ。級長と副級長は先生が任命するから。級長は廣田貴正、副級長は田中咲良に頼む。みんなは他の役員を決めてくれよ。」担任の杉ちゃんが大きな声を出している。杉ちゃんはちょっと変わってて面白い。現代国語を担当しているからか、話し上手...
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入学式の朝。「学校、どこ。」家から学校までが果てしなく遠い。初日なのに、もう退学したい。これから3年間もこの道を通うなんて、ちょっと信じられない。家から最寄り駅までは自転車で、小さな駅で電車を降りる。そこから学校までは歩いて15分。その道の...
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-title 1-

夏香の家で高校受験に向けて勉強をしている。こたつの温もりとミルクティーの甘い香りが時計の針をゆっくり動かしているようで受験なんて永遠に来ない気がした。”どうせ成績、よくないし”志望校を決める時に、自分自身へのマイナスポイントをまたひとつ追加...