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「学級役員決めるぞ。級長と副級長は先生が任命するから。

級長は廣田貴正、副級長は田中咲良に頼む。

みんなは他の役員を決めてくれよ。」

担任の杉ちゃんが大きな声を出してる。

杉ちゃんはちょっと変わってて面白い。

現代国語を担当しているだけあって、話し上手だし。

少し話しをするようになっていた咲良の肩をトントンとする。

「すごいね、頑張ってね。」

真面目そうだし、きっと成績も良い。

推薦で入学したのかな、なんて勝手に想像してしまう。

わたしは数学係になった。

授業の前日に数学の先生に連絡事項を確認してクラスのみんなに伝えるなんてことない仕事。

そんなことより部活、どうしようかな。

中学校ではバスケットボール部に入っていた。

続けてもいいけど、正直そんなにこだわりはなくて。

チームワークを求められることは得意ではないみたい。

でも、他の部活動を選ぶ勇気もなくて、気づけば体育館へ向かってる。

顧問の先生は40代半ばくらい、ファンデーションがやたら白くて、リップの赤は似合ってない。

先生がわたしに話しかけてくる。

「どうしてこの部活に決めたの?」

「中学校でバスケットボール部だったし、バッシュとかも揃っているから。」

「へぇ。」

鼻で笑われて、バカにされたのがわかった。

高校生だってそのくらいの空気は読める。

――部活なんて絶対に参加するもんか。

今日も杉ちゃんがホームルームを進めてる。

「この前のテストの結果を渡すから。名前を呼ばれたら成績表を取りにこいよ。」

「杉ちゃん、わたしの名前を呼び間違えてるよ、早く覚えてよ。」

クラス順位は39人中12位。

結局テスト勉強はしなかったけど、思ったよりいいじゃん。

靴を履き替えながら、わたしはその順位に満足してる。

「あれ?同じ学校だったんだ。」

背中から呼び止められた。

「太田くん、本当だね。びっくり。」

太田くんは同じ中学校だったけど、ほとんど話したことなかった。

新しい環境でまだドキドキしている毎日だから、

知っている顔に出会えてほっとして懐かしい気持ちになった。

「これから帰る?それとも部活に行くの?」

「わたしは帰るよ。太田くんは中学で卓球部だったよね?高校でも卓球部に入ったの?」

「そうだよ。部活は入らないの?」

「うん、入らないかな。太田くん、部活がんばってね。」

「ありがとう。またね。」

放課後の校門を出ると、みんなそれぞれ忙しそう。

バイトに行ったり、彼氏と待ち合わせしてたり。

そんなみんなの間をすり抜けながら、わたしはひとりで駅に向かって歩く。

ひとりで歩くこの道もそろそろ慣れなきゃね。

お昼は果穂と咲良とお弁当を食べるのが日課になった。

果穂はテニス部に入部して、もうすでに活躍してる。

わたしと咲良は結局どの部活にも入らないまま。

「じゃあバイトでもしよっか。」とはならなくて。

最近は果穂がメイクをするようになった。

でもなんかイマイチで。

わたしと咲良はダメ出しとかしてる。

「チークが濃すぎ。」

「アイシャドー濃いって。」

「ブルー選ぶってセンスない。」

なんて意地悪っぽく言う。

この前なんて、学年イチの女神にどんなメイクをしているか教えてもらってきてた。

「あの綺麗な肌は、あの高い化粧水を使ってるからだね。やっぱバイトしないと買えないよ。」

「ねぇ、廊下で呼んでるよ。」

クラスメイトがわたしに声を掛けてきた。

廊下に視線を向けると太田くんだった。

扉にピッタリと身体をくっつけて、

わたしとあまり背の変わらない先輩っぽいひとと並んで、こちらに手を振ってる。

「お弁当食べてる途中だった?」

わたしは慌てて太田くんのところまで急ぐ。

「もう、終わってるよ。どうしたの?」

「男子卓球部の部長がマネージャーを探していて。

この前、部活に入ってないって聞いたから、

お願いできないかなと思って誘いに来たんだけど。」

太田くんが紹介してくれた人は部長さんらしい。

部長は太田くんに続けて話してくれた。

「突然ごめんね。ぜひお願いしたくて。よかったら、今日部活を見に来ない?」

うーん、やってみたいって気持ちもないけど、断るほどの理由もない。

いつも予定のない放課後には飽きてきてたし。

でも、わたしひとりでは心細い。

「果穂と咲良も一緒なら見学に行ってもいいけど、どう?」

ふたりに聞いてみる。

果穂は

「わたしは部活があるから無理だよ。」

それはそうだよね。

「いいよ、行こう。」

咲良って真面目そうなのに、こういうフットワークが軽いところがあるんだ。

部長と太田くんは顔を見合わせて笑った。

「ありがとう、体育館で待ってるね。」

そう言って、午後の授業に戻っていった。

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